1999 年 65 巻 5 号 p. 826-832
田辺湾におけるアレキサンドリウムAlexandrium catenellaの異常発生が比較的多くみられた1984および1987年を中心に, 同種の高密度発生と水質, 気象要因等との関係について調べた。同種は4月の中旬頃に豪雨, または非常に強い風のあった約1ヵ月後の5月中旬頃最も高密度に発生し, また, 高密度発生時の水質諸要因に関しては, DIN(溶存無機態窒素), DIP(溶存無機態リン), およびDIN×DIPが非常に低く, DIN : DIP比が高かった。これらのA. catenellaの高密度発生時における気象諸要因や水質諸要因の特徴は, 同種のシストの発芽や栄養塩の利用性等の生理学的特性と密接な関連があることが示唆された。