2016 年 82 巻 1 号 p. 18-27
北日本の降海型サクラマスでは放流ヤマメとの交配による遺伝的攪乱やスモルト化率への影響が危惧されている。そこで遡上したメスサクラマスにスモルト化率の低い放流用オスヤマメを交配させた群(OKT 群)と千歳川の残留型オスサクラマスと交配させた群(CTS 群)との間でオス成熟率およびスモルト化率を比較したところ,OKT 群のオス成熟率は高く,逆にスモルト化率は低かった。このことから降海型サクラマス資源の保全,回復を図る上でスモルト化率の低いオスの放流ヤマメが影響を及ぼす可能性が示唆された。