歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
唾液腺ホルモン「パロチン」のコレステロール生合成におよぼす作用
中村 治雄高井 葉子
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1972 年 14 巻 3 号 p. 312-315

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抄録

唾液腺ホルモン「パロチン」のコレステロール生合成に対する影響を検討した。
DHS系雄マウスの肝ホモジネートにパロチンを加え, in vitroにおける酢酸-1-14Cのコレステロールへのとりこみをみたところ, とりこみはパロチン5mgの添加で抑制された。
in vivo実験では, パロチンの1回投与では酢酸-1-14Cのとりこみ, 肝および血液の総コレステロール量とも, 対照群との有意差はなかった。14日間連続投与では, 酢酸-1-14Cのとりこみは7日目に増加したが, その他の日では変化なく, 総コレステロール量も変化なかった。また7日目におけるメバロン酸-1-14Cのとりこみにも影響はなかった。
パロチンのコレステロール生合成に対する作用は, in vivoでは酢酸とメバロン酸との間で促進的に働いていると考えられるが, その影響は小さく, コレステロール代謝にとって重大な意味を持たないと考えられる。

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