日本歯周病学会会誌
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症例報告
歯間乳頭の回復を試みた一症例
佐藤 ゆかり
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2008 年 50 巻 4 号 p. 255-260

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抄録

本報では, 歯周治療で消失した歯間乳頭が, セルフケア用具の使用時期を術者が入念にコントロールすることにより, 回復してきた過程を報告する。患者は43歳の女性で, 45の修復物の脱離を主訴に来院した。主訴への対応後, 全顎的な歯周治療が必要と判断し, 歯周基本治療を開始した。当初はモチベーションも低く, 上顎前歯部の歯間乳頭は消失し審美性も失われていたが, 治療が進むにつれモチベーションが上がり, 歯間空隙を気にするようになった。そこで, 歯肉の回復の時期に合わせて歯間乳頭の回復を妨げないように歯間ブラシの使用を中止したところ, 歯間乳頭の回復がみられた。その後サポーティブペリオドンタルセラピー(以下SPTと略す)に移行し, 全顎的に良好な状態を維持している。歯間乳頭を回復させることは審美性の追求だけでなく, 隣接面の清掃性の向上や患者負担の軽減につながる。また, 患者も満足するためにモチベーションの維持としても効果が期待できる。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)50(4) : 255-260, 2008

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© 2008 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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