日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
症例報告
Papillon-Lefèvre症候群患者の10年間に及ぶ治療経過について
梅田 誠牛田 由佳野口 和行石川 烈
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 46 巻 4 号 p. 315-324

詳細
抄録

乳歯列期から急速な歯周組織破壊を示すPapillon-Lefèvre症候群患者 (PLS患者) の歯周治療を10年余りにわたって行い, 良好な経過を示している。患者は初診時6歳の女性で, 歯肉の腫脹を主訴に来院した。混合歯列の口腔内の残存乳歯において, 深い歯周ポケット, 高度の歯槽骨吸収, 歯の動揺, 歯肉の発赤, 腫脹が見られ, 口腔から, Actinobacillus actinomycetemcomitansおよびTannerella forsythensisが検出された。歯周病原性細菌の感染源を除去するために歯周ポケットを有する残存乳歯を抜歯した。その後, 頻繁な口腔ケアによって歯周病原性細菌の再定着の防止を試みたが, 12|12に始まる再発から全顎にわたる炎症および急激な歯周組織破壊を示し, 局所から歯周病原性細菌が検出された。急激な症状の悪化に対し, 歯周外科手術および塩酸ミノサイクリンの投与は有効でなかったことから, 10歳時, レボフロキサシンを投与した。また, 家族の歯周治療を行って歯周病原性細菌の家族内感染を防ぐことによって, 口腔内から歯周病原性細菌が取り除かれ, 臨床症状は急速に改善し, 16歳の現在において歯周組織の改善が見られ, 良好な経過を示している。難治性のPLS患者において歯周病原性細菌を検出し, モニターしながらそれを取り除き, 家族からの感染を防ぐことによって, 良好な治癒が見られた。

著者関連情報
© 2004 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
前の記事
feedback
Top