日本歯周病学会会誌
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成人性歯周炎における初期治療効果の指標としての歯周局所PGE2レベルについて
斉藤 光博三上 正人斎藤 和子
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2002 年 44 巻 2 号 p. 131-147

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抄録

歯周疾患の疾病活動度の評価法を探求する目的で, 歯肉溝滲出液 (以下GCF) 中のプロスタグランジンE2 (以下PGE2) 値の測定をして, 臨床所見との比較を行った。またPGE2生成に関与する酵素であるシクロオキシゲナーゼ2 (以下COX2) mRNAの検出を行った。
対象は成人性歯周炎と診断された患者20名とした。初診時, 大臼歯部にて7mm以上のポケットを有する部位を重症部位, 同一患者の大臼歯部で3mm以下のポケットを有する部位を軽症部位とし, 各々の部位にペーパーポイントを挿入してGCFを採取した。初期治療を行って1カ月後に, 初診時と同様にGCFを採取した。なお, GCF採取時に臨床所見としてProbing Depth (以下PD), クリニカルアタッチメントレベル (以下CAL), プロービング時の出血 (BOP), プラーク指数 (PII) を測定した。GCF中のPGE2値はELISA法にて測定し, COX2mRNAはRT-PCR法を用いて検出を行った。
初期治療後, PD値は重症部位で平均7.2±0.5mmから3.5±1.2mmへ, 軽症部位で2.7±0.6mmから1.9±0.6mmとなり, AL値は重症部位で平均8.0±1.1mmから5.2±1.4mmへ, 軽症部位で3.5±0.8mmから2.9±0.9mmへと改善した。GCF中のPGE2値は重症部位で450±340pg/siteから112±70pg/siteに, 軽症部位では170±200pg/siteから70±68p9/siteへと低下し, PGE2値とPD値, およびPGE2値とCAL値との間には相関を認めた。COX2m RNAの発現についてはPGE2値との相関は認められなかった。以上のことからGCF中のPGE2値において200p9/siteが疾病活動期の基準となることが示唆された。

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