日本歯周病学会会誌
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ラット胎児頭蓋冠由来細胞培養系におけるプロスタグランディンE2の石灰化促進作用
中野 恵子大石 慶二山内 規進大石 美佳篠原 啓之片岡 正俊木戸 淳一西川 聖二石田 浩永田 俊彦
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1996 年 38 巻 4 号 p. 484-492

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抄録

プロスタグランディン (PG) E2は, 骨代謝の局所因子として重要な役割を担っており, in vivoあるいはin vitroにおいて, 骨形成と骨吸収を促進するという二面性の作用を併せ持っている。我々はすでにラット胎児頭蓋冠由来細胞 (RC細胞) 培養系に, 3×10-8MのPGE2を添加することで, 骨原性細胞から骨芽細胞への分化が促進することを明らかにしている。本研究では, 骨芽細胞に富んだRC細胞培養系を用いて, PGE2の石灰化に及ぼす影響を調べた。その結果, 有機リン酸を添加して形成されるBone Nodule (BN) の石灰化率は, PGE2を添加することにより促進された。しかしながら, PGE2はアルカリフォスファターゼ活性には影響を与えなかった。石灰化基質中のカルシウム結合性蛋白は, 石灰化開始48時間以後に, 58および62kDaのバンドに増強が見られた。また, ウエスタンブロット分析から, PGE2は石灰化BN基質中のオステオポンティンの量を増加させた。これらのことより, PGE2はRC細胞培養系において分化した骨芽細胞の機能を促進することによって, BNの石灰化を上昇させることが示唆された。

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