日本歯周病学会会誌
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ヒト歯肉縁上並びに縁下歯石のグリコサミノグリカンの分離とその特性
本田 準虎
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1992 年 34 巻 3 号 p. 620-632

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抄録

歯肉縁下歯石中のグリコサミノグリカン (GAG) 構成の特徴を縁上歯石と比較検討した。歯周炎患者107名より採取した歯石から, 4M塩酸グアニジンを含む50mMトリス緩衝液中, 脱灰および未脱灰条件下でGAGを抽出した。定性, 定量はセルロース・アセテート膜二次元電気泳動法で行い, さらにコンドロイチン硫酸異性体は高速液体クロマトグラフィーで分離した。縁上歯石中のGAGの主体はピアルロン酸 (17.5μg/g dry wt.) で, 他の硫酸化GAGは検出されなかった。縁下歯石中にはピアルロン酸 (26.7μg/g) に加えてコンドロイチン硫酸 (18.2μg/g) およびデルマタン硫酸 (9.3μg/g) を認めた。また, 縁下歯石中に認められたコンドロイチン硫酸の大部分は4-硫酸エステル型であった。これらの成績から, 歯肉縁下歯石中のGAGは歯肉溝滲出液由来であることが示唆された。

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