日本歯周病学会会誌
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ビーグル犬の根分岐部病変への各種移植材の比較検討
石川 一郎松江 美代子田原 洋山田 総一郎桐野 忠昭松江 一郎
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1985 年 27 巻 3 号 p. 570-587

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抄録

近年, 骨の吸収にまで波及した歯周病変の処置として, 種々の移植材を用いた骨移植の研究が行われている。
本実験の目的は, こうした一般に臨床で遭遇するような骨欠損部位に対して, 自家骨, Lyophilized dura mater「Lyodura」, Hydroxyapatite, を移植して, 組織学的に骨の新生機序を比較するところにある。
そのために著者らは, 頬舌的に交通しているような進行した分岐部病変を有するビーグル犬2頭のP4, M1の欠損部を参照して, 歯周疾患に罹患していない健康なビーグル犬2頭の同部位に骨欠損モデルを形成し, 移植材の評価を試みた。
その結果, 術後1週間目の所見では Lyodura も Hydroxyapatite も粗な結合組織で包囲されているが, 1ヵ月後では骨の修復はほぼ完了していた。
自家骨を移植した実験部位には, 新生セメント質, 歯根膜様組織が観察されたが, Lyodura においても Hydroxyapatite においても歯根面との間には結合組織で満たされているのみであった。
Lyodura も Hydroxyapatite も骨誘導能を有すると考えられるが, 歯肉の炎症が慢性的に持続している場合, その炎症反応によって骨の新生を含む歯周組織の再生が遅延していた。

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