日本歯周病学会会誌
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歯周疾患と好中球機能
1. NBT還元試験での血清の役割
下島 孝裕岩川 吉伸中村 安隆丸本 淑子楠 公仁池田 克巳
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1985 年 27 巻 1 号 p. 153-159

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抄録

好中球の活性化機構におよぼす液性因子の影響を明らかにするため, 単離精製した好中球を用いた定量的 Nitroblue tetrazolium 還元試験によって, 好中球のNBT還元能に対する血清効果について検討し, 他方, 歯周疾患患者と健常者間で, その血清効果に差が認められるかどうかについて比較検討した。その結果, 好中球のNBT還元能は血清を添加することにより著しく増強し, 非働化によってこの血清効果は失なわれなかった。そして好中球の最も高いNBT還元能は, 血清処理した zymosan を加えることにより得られ, またその効果は洗浄あるいは非働化によって失なわれた。
歯周疾患患者の好中球に直接的に作用する血清効果は, 健常者のそれに比較して有意に低下していた。一方, オプソニン化に作用する血清効果は, 両者間で差は認められなかった。
以上の結果から, 好中球のNET還元能におよぼす血清効果には, 直接好中球に作用するものと, 細菌のオプソニン化に働くものとの2つの異なった血清成分の関与が示唆できた。

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