1983 年 25 巻 4 号 p. 908-918
歯槽骨骨頂部における骨の質的及び形態的変化を検出する手段として, 歯周治療前後のX線写真のサブトラクション (引き算) 像が単にX線写真を比較して判定するより有効であるか否かを確かめるために実験を行った。
ヒト乾燥下顎骨大臼歯部の歯間骨頂部に様々な大きさの骨欠損を人工的に形成した。X線管焦点, 被写体, フイルムの三者の幾何学的配置を同一にして骨欠損形成前後のX線写真を得た。形成前のX線写真の反転像と形成後の像を重ね合わせて光学的にサブトラクション像を作製した。得られたX線写真像とサブトラクション像について, 10名の歯科医が骨欠損の有無を判定した。その結果, サブトラクション像によればより微少な歯槽骨の変化を検出し得た。また臨床例のサブトラクション像より骨の新生した形態を頬舌的な変化をも含めて描出できることがわかった。