1983 年 25 巻 2 号 p. 393-398
根分岐部に病変が及んだ場合の残存する歯周支持組織と歯根表面積との関係を調べる目的で今回の研究を行った。上下顎第1, 第2大臼歯計83本の抜去歯を用いて, 歯根全体を3つの部分, 即ち, 歯根幹部 (分岐部を除く), 分岐部, 各歯根部にわけ, それぞれの表面積を改良 membrane technique により測定した。(1) 各歯根部の表面積の平均値は79.5mm2~159.4mm2であった。上顎第1大臼歯において, 口蓋根が他の2根に比べて有意に大きかった。(2) 各分岐部の表面積の平均値は11.4mm2~15.1mm2であった。各分岐部間には有意な差は認められなかった。(3) 各歯根部と歯根幹部の表面積の割合について検討したところ, 各歯根部の表面積の占める割合は, 下顎第1大臼歯が, 他の歯種に比べて大きかった。歯周治療を行う上で, 以上の結果を考慮に入れる必要があろう。