1995 年 26 巻 1 号 p. 1-9
膝関節前十字靱帯再建術における重要なファクターには再建材料の種類, その固定部位, 固定方法, 固定時の膝関節角度等があるが, 犬で生体力学的に検討した報告は著者の知るかぎりではない。そこで関節内法および関節外法において, 膝関節の可動域における再建靱帯の固定間距離の計測を行い, 手術時における至適固定部位について検討を加えた。その結果, 最も等長性が保たれた部位は関節内法では前十字靱帯脛骨側付着部の前内側部と前十字靱帯大腿骨側付着部の後上縁の組み合わせであった。また, 関節外法では外側ファベラと脛骨粗面近位の組み合わせが最も良好であり, 伸展位で固定すべきであると考えられた。