2017 年 48 巻 1+2 号 p. 9-13
8 歳、避妊雌のジャック・ラッセル・テリアに急性細菌性腹膜炎が認められた。開腹手術で空腸に2つの穿孔部位が見つかり、それぞれを切除し、病理組織検査と免疫染色から組織球性肉腫と診断された。術後は順調に回復し、カルボプラチンの投与を7回行い、術後185日目の慢性下痢による死亡時まで穿孔性腹膜炎や腫瘤の再発はみられなかった。本症例は犬の小腸原発組織球性肉腫の最初の報告例であるが、本腫瘍では小病巣でも自然穿孔が生じる可能性があり、それに対しては手術切除が有効であることが示唆された。