1988 年 61 巻 7 号 p. 471-477
2官能性アクリル酸エステルは天然ゴムラテックスの放射線加硫に対する優れた促進剤であるが, ラテックスの安定性を低下させる. 3種の2官能性アクリル酸エステル(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート, ネオペンチルグリコールジアクリレート, 1,3-ブチレングリコールジアクリレート) の放射線加硫促進効果について詳細に比較し, 更に, ラテックスの安定性を改善するため単官能性アクリル酸エステル添加によるラテックスの増粘防止について検討した. 3種類の2官能性アクリル酸エステルのなかでは, 1,6-ヘキサンジオールジアクリレートが最も加硫促進効果が高かった. 疎水性の高いアクリル酸2-エチルヘキシルとの併用により, ラテックスの安定性は向上した. アクリル酸2-エチルヘキシルの添加量が増加すると加硫線量は低下したが, ゴム物性も低下した. 最適添加量は1, 6-ヘキサンジオールジアクリレートとアクリル酸2-エチルヘキシルそれぞれ5重量部であり, 加硫線量は10kGyであった. アクリル酸2-エチルヘキシルは単官能性であるが, 単独でも加硫促進効果が認められた.