日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
各種ゴムマトリックスによる短繊維-ゴム複合体の機械的性質
野口 徹芦田 道夫真下 智司
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 57 巻 12 号 p. 829-837

詳細
抄録

PET又は炭素の短繊維をCR, EPDM, ウレタンゴム (UR) に充てんしたそれぞれの複合体の機械的性質と膨潤を測定し, 繊維の接着処理, 充てん量の影響を求めた.
PETの短繊維は練り工程中に切断されないが, 炭素繊維は細かく切断され長さが100~150μmに低下した. これらの短繊維は充てん率が10vol.%以下では, 3種類のゴム中で高い配向を有している. 未処理のPETとEPDMの複合体の降伏応力はCR複合体の約1/2の小さな値となった. PETを配合した試料は降伏せず, 伸びの増加に伴って引張応力はほぼ直線的に増大して破断した. 未処理PETとURの複合体の引張応力はゆるやかに増大し, 繊維末端にすきまが観察された. イソシアナート処理したPETを配合した試料の引張応力の増加は小さかった. また繊維配向方向と直角方向の引張応力はPETとURの界面がはく離すると低い値を示し, 補強効果を減じることがわかった. 炭素繊維-ゴム複合体の繊維配向方向の引張応力はアスペクト比の低下のため小さく, 直角方向では繊維とゴムの相互作用が弱いためほとんど補強効果がみられなかった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本ゴム協会
前の記事 次の記事
feedback
Top