1972 年 45 巻 12 号 p. 1069-1073
ブタジエン系の合成ゴムに対する新しい加硫剤として, p-フェニレン-3, 3'-ジシドノン (PDS) が有効であることを見いだした. すなわち, PDSを配合したゴムを180°Cで20~40分間熱プレスすることにより, 良好な耐熱性を有する加硫物が得られた. これはゴムに配合したPDSが加熱により, ゴムの二重結合に双極子付加してピラゾリン環を形成し, ゴムの架橋をするものと考えられる. PDSによるゴムの加硫に際しては, 加硫反応中に炭酸ガスが発生し, 純ゴム配合の場合には得られた加硫物が発ぽう体となった. しかしながら, カーボンブラックまたは酸化カルシウムを配合することにより発ぽうが防止された.