日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
ゴムのオゾンき裂の機構
理論
志賀 徹也稲垣 豊荒井 哲夫
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1963 年 36 巻 6 号 p. 540-543

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抄録

ゴムのオゾンき裂機構の数式化を試みた. オゾニドの分解過程にエネルギー状態の応力依存性を導入し統計的処理をおこなってき裂部において選択的に切断反応がおこることをあきらかにした.
すなわちき裂部と非き裂部の切断確率の比は次式となる.
1+(n1/2•τ"/√2π•t)
ここでnはき裂の大きさ, τは緩和時間, tが観測時間である. この式よりき裂が生成する理由(n1/2), オゾン濃度によりき裂の形状がかわる理由(t), および軟化剤の効果 (τ") がただちに理解できた.
またき裂発生までの時間の数式化もおこない, いわゆるき裂生成の臨界応力というものが低応力または低オゾン濃度の場合におけるき裂時間の急激な増加による実験誤差にすぎないと考えられることを示した.

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