中国の農業部門では, 限られた土地を有効に利用する手段として, 農業資本投入による要素代替が行われてきた, これにより農作物の土地生産性は向上し反収は増加している. しかし, 農業資本の製造過程や使用過程に付随して環境的意味で必要となる仮想的土地投入分をエコロジカル・フットプリント (EF) の考え方に基づいて評価すると, 農業生産に必要となる土地はどのように評価すべきであろうか. 本研究では1985年と2003年の2地点を対象に, 中国農作物10品目について, 反収の増加によって直接節約された土地と農業資本投下に付随して必要となる間接土地面積の増加を土地収支として表現し, 品目や地域ごとに分析した. その結果, 中国全体では農業生産に必要な土地面積は22.5百万ha増加しており, 特に米, とうもろこし, 綿花で大きくEF指標が悪化していることが明らかとなった.