2005 年 33 巻 p. 377-387
本研究は流域管理への適用可能な環境負荷排出インベントリーシステムの開発を目的に, 流域内外での流通活動の影響が評価可能なマクロインベントリーシステムと, 環境負荷の分布特性が把握可能な分布型インベントリーシステムを構築し, 東京湾流域の水需要に対して適用した. その結果, 東京湾流域では, 鉄鋼業, 化学工業などが多い沿岸地域での水需要量が多く, 6~7割は流域外での消費活動に誘発される構造にあることが明らかとなった. 一方, 東京都の水需要量は少ないが, 東京都での消費活動により東京湾流域で約35億m3の水需要が東京都以外の地域で誘発されるという結論が得られた. また水需要分布は, 部門ごとに分布の形態や強度が異なることが示された.