近年、従来の河川管理、水道管理及び下水道管理という個別の枠組みでは捉え切れない震災リスク、環境汚染リスク、渇水リスク等のリスクが顕在化している。このような都市の水供給に係わるリスクを軽減するためには、個別的に行う管理の発想でなく、都市内の水の流れを水循環システムとして捉えたリスクマネジメントを行うことが必要である。本稿では、防災・減災のために都市の水循環システムのあり方を研究することを目的として、都市水循環システムモデルの概念を提案する。同モデルの意義は、都市の水循環システムに係わる異なった管理主体を同じ土俵にのせて一体のモデルとして分析・評価することができる点である。