土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
広島湾における藻場内の海草流出による炭素輸送経路の解明
杉本 憲司西村 威人津田 尚忠小林 和香子髙田 陽一吉永 圭介
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_889-I_894

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抄録

 本研究では,広島湾内の砂泥性藻場からの流出,漂流後の海草の輸送先について,遺伝的距離,潮流シミュレーション及び炭素安定同位体比を用いて検証を行った.砂泥性藻場生育,海岸に漂着及び漂流していたZostera marinaの葉の炭素含有率に統計的な有意差はなかった.広島県廿日市地御前に分布していた海草は,他の砂泥性藻場と遺伝的分化が低く,海草の交流が起こっていることが示唆された.遺伝的距離から漂流していた海草は,特定の砂泥性藻場からではなく様々な藻場が起源となっていた可能性が示唆された.潮流シミュレーションを用いて砂泥性藻場3箇所から流した海草は,1ヶ月後には海岸線に沿って漂流をしたが,3ヶ月後には広島湾の湾央部に漂流した.広島湾の底泥中炭素起源は,海水中プランクトンや海藻の寄与が大きく,海草起源は陸上起源よりも寄与が小さいことが分かった.

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© 2021 公益社団法人 土木学会
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