2021 年 77 巻 2 号 p. I_259-I_264
気候変動に伴う高潮の甚大化により,越波と越流の両者を同時に考慮した浸水評価が重要となっている.既に提案されている越波越流量の評価式は,水理実験による検証が十分でなく,評価手法として確立されているとはいえない.本研究では,先行して実施したOpenFOAMによる数値実験と同等の条件で水理模型実験を実施し,数値実験の妥当性検証及び越波越流量と浸水位の評価手法に関する検討を行った.その結果,先行して実施した数値実験結果の妥当性が確認され,既往の越波越流量評価手法の適用性及び課題が明らかとなった.また,護岸高を超える高潮の発生時,波浪の影響で海水面よりも浸水位が上がるリスクがあることを示し,この結果を用いて著者らが以前提案した陸域浸水位を推定する評価式を更新し,その適用性について示した.