2020 年 76 巻 2 号 p. I_1225-I_1230
確率的台風モデルは,既往の台風の時間発展特性の空間分布を確率的な組み合わせで表現するもので,最強の組み合わせにより最強の台風を表現することが理論的に可能と考えられる.本研究ではそのモデルの改良として台風ベストトラックデータの母集団から,対象地点に着目して資料を作成した確率的台風モデルによる,強大な台風の表現について,東京湾を対象に高潮の観点から検討したものである.
東京湾とその周辺を通過した台風のみを統計および確率の資料として構築した確率的台風モデルでは,日本の南岸付近で低気圧の勢力を強く表現されることから,従来の同モデルと比較して大きな高潮偏差を表現できることを示した.よって対象地点とその周辺を通過した台風の属性から確率的台風モデルを構築,台風と高潮の推定を行う方法が有用である可能性を示した.