2018 年 74 巻 2 号 p. I_895-I_900
石川海岸南部の片山津工区では,防護だけでなく景観,漁業利用に配慮して粗粒材養浜と消波工による海岸保全が進められている.2013年の試験養浜を加えると2017年1月までに計4.52 万m3の養浜材が投入された.本研究では,現地踏査と現地実験,モニタリングデータを用いた地形変化の実態解析により,粗粒材養浜による海岸保全効果を定量的に調べた.この結果,粗粒材養浜後,片山津工区では主に-5 m以浅で堆積が起きて砂浜面積が広がり,計画浜幅を満足する範囲が経年的に広がりつつあることから,粗粒材養浜は確実に海岸保全効果を発揮していることが確認された.総養浜量に対して粗粒材が留まる水深5 m以浅の堆積量が少ない点については,2種類の粗粒材の混合による体積減少,高波浪時の護岸背後への礫の打ち込み,高波浪による-5 m以浅の海浜に含まれた砂分の沖合への流出など,3要因が考えられた.