2018 年 74 巻 2 号 p. I_1483-I_1488
都市感潮河川である日本橋川では降雨時に放流された未処理下水が堆積し,嫌気的に分解され,有機物が還元化,酸性化を進行させ,底泥の還元化は貧酸素や硫化水素の発生に繋がり,周辺環境の悪化の主要因となる.本研究では,還元状態の緩和や栄養塩除去が期待できる石炭灰造粒物を用いた礫間接触構造体による水・底質浄化効果を検証した.石炭灰造粒物の効果はセジメントトラップに堆積する沈降泥の性状変化から浄化効果を評価した.その結果,河川水が構造体を流れ,礫間接触効果による全リン,有機物量,n-ヘキサン抽出物質の低減,有機物の低分子化,窒素除荷効果等を確認できた.さらに,石炭灰造粒物の敷設厚を増すことで,有機物分解量が増加する等の浄化能力が認められた.