2017 年 73 巻 2 号 p. I_973-I_978
最も基本的な構造体である平板を中心とする様々な規模の角柱を対象とした海氷の衝突実験ならびにDEMによる数値実験を実施した.均一な物性・強度の氷やその完全な面接触など理想条件での衝突が現実では極めて困難または稀であり,必然的に実験結果がバラつく事,その衝突波形や破壊機構が複雑である事,等を数値実験から説明した.実験値及び実験困難な様々な条件での数値実験結果は,破壊の有無,動弾性率,衝突速度,氷の規模等に関わらず,理論的に得た弾性体の平板への最大衝突力を推定する単純な式の傾向特性と一致した.その理論式をベースとし,高速で漂流する小規模氷塊が脆性破壊を伴って衝突する場合の,平板を含む任意サイズの角柱構造物への最大衝突力を簡便に評価する方法の提案を試みた.