2016 年 72 巻 2 号 p. I_223-I_228
本研究では,可能最大強度(MPI)に達した台風がもたらす可能最大高潮(MPSS)を高効率かつ高精度に評価すること目的として,MPIの変化のみならず最大風速半径(RMW)の変化をも考慮できる新しいMPI台風-高潮結合モデルを構築した.CMIP3が提供する全球気候モデルHadCM3の結果を用いて,伊勢湾におけるMPSSの長期変動を,MPIのみを考慮する場合(CASE1)とMPIとRMWの両方を考慮する場合(CASE2)に別けて評価した.その結果,名古屋港におけるMPSSの100年間上昇量は,CASE1の場合,B1シナリオで+2.5m,A2シナリオで+3.2mとなるのに対して,CASE2の場合,B1シナリオで+3.2m,A2シナリオで+3.9mとなり,MPSSの評価に際してRMWを適切に考慮することの重要性が明らかとなった.