2016 年 72 巻 2 号 p. I_1747-I_1752
現時点におけるDSM作成の最先端技術を用いた沿岸域被害把握の可能性を探るため,2011年の東北地方沖地震津波により甚大な被害を受けた仙台湾南部海岸を対象に,リモートセンシングソフトウェアERDAS IMAGINEによって半自動作成したDSMと,航空レーザー測量により作成された数値標高モデルDEMを比較することにより,作成したDSMの精度を検証するとともに,被災前後の被害推定の妥当性を確認した.半自動作成したDSMの妥当性は,同時期に取得されたDEMとの残差と土地被覆状況を比較することにより確認した.被災前後のDSMの残差特性から,地表物の少ない低平地の被害を把握することは困難であったものの,海岸林領域や住宅地領域の被害把握は可能であった.また,被災前のDSMに代えてより精度の高いDEMを用いることにより,津波による海岸堤防周辺の被害把握が可能であった.