北海道南部の鵡川河口域において2013年4月から2014年9月の間に19回の地形観測を行うことにより,河口地形の短期的な変動機構を把握した.河口東側に建設された構造物が西向きの沿岸漂砂をほぼ遮断しているため砂州前面の比較的浅い領域(水深0~5m程度)の侵食が進んでいる.侵食された土砂は砂州の延伸に寄与しながら河口西側に移動している.砂州前面の侵食と河口西側への土砂の移動はともにSE~SSW方向から来襲する波高1.5m以下の波浪が強く影響する.また,河口幅と河口西側の地形変動量はともに河川流量と正の相関があることから,河口西側では波浪によって東側から移動した土砂に加えて河川から流出した土砂と出水時にフラッシュされた砂州先端部の土砂が地形変動に影響することが明らかとなった.