2018 年 74 巻 4 号 p. I_441-I_451
本研究では,蛇籠擁壁の耐震性能評価及び地震時被災形態の要因を解明するため,実大規模振動台実験を実施した.本実験では,2015年4月25日に発生したネパール地震において,道路閉塞が多発したアラニコ・ハイウエイにおける蛇籠構造物の調査結果に基づき,孕み出しや傾斜等の変形が多く確認された直立3段積みの蛇籠擁壁を大型土槽内に再現し,加振実験を実施した.その結果,加振時には擁壁に位相差が生じる等,複雑な動的挙動が確認された.また,加振後には,蛇籠擁壁全面に大きな傾斜が生じ背後地盤に崩壊が見られたが,擁壁が自立してた.このことから,蛇籠擁壁は柔構造ではあるために,背後地盤の変形に拘わらず,転倒・破壊には至らないことが確認された.