2017 年 73 巻 4 号 p. I_815-I_826
本研究では,従来工法である前刃金工法に必要な粘性土不足への対応として,遮水シート工法によるため池堤体の耐震性検証を目的に,実大規模震動実験を実施した.本実験では,前刃金工法および遮水シート工法による堤高3mの実大規模ため池堤体を土槽内に施工し,最大471Galの正弦波加振により地震時挙動と加振後の残留変形や損傷状況を比較・観察した.加振実験の結果,遮水シート工法で改修された堤体天端に,ベントナイトシートと土の剥離に起因する比較的大きなクラックが発生したが,漏水までは至らなかった.本報告では,加振前後に3Dレーザー計測による堤体の形状計測を行い,残留変形が上流側に変形傾向にあること,他の測定あるいは調査結果と概ね整合したこと,および幅10mm程度のクラックを捉えた計測結果について報告する.