2020 年 76 巻 2 号 p. I_953-I_958
支笏湖岸道路では,風波による通行障害が顕在化し,対策が急がれている.本研究では,地形を考慮したマスコンモデルにより湖内の風を推定し,ウィルソン法で設計波を求めた.水理模型実験では,1/2の湖底勾配を再現し現状の越波打ち上げ高を求め,現地観測値と比較した.次に,護岸前面に消波ブロックを設置することで,越波打ち上げ高を5割減少できることを示した.設計波相当の波浪によって,法先の消波ブロックの沖側への移動が顕著となった.そこで数値波動水路による解析で,急勾配条件に特有な沖向きの流れと根固ブロックに働く波力の特性を明らかにした.さらに安定実験により,消波工の安定確保には,根固として平型ブロック(7t型)が必要であることを示した.以上の護岸改良を講じた上で,通行の安全確保のためのソフト対策の提案を行った.