2018 年 74 巻 2 号 p. I_444-I_449
北海道道東に位置するコムケ湖を対象とし,水中CO2分圧のモデル化を目的として溶存無機炭素濃度(DIC)モデルの構築を行った.コムケ湖は汽水湖であり,淡水と海水のDICの値が大きく異なるとともに,気象や潮汐等の外的条件の変化により時々刻々とDICの空間分布が変化するため,3次元数値計算モデルによる再現計算を行った.
アマモ場による呼吸と光合成を考慮したDICモデルを提案し,現地観測との比較・検討を行った結果,良好な再現性が得られた.数値解析の結果によると,コムケ湖内で成層が強化されることにより,表層のDICが減少し,水表面付近の水中CO2分圧は大気と比較して低くなることが分かった.また,河川出水により大量の炭素が与えられたとしても,アマモ場による効果で水中CO2分圧は大気と比較して低く,湖全体としてCO2は吸収傾向であることが分かった.