2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18155
気候変動による海面上昇や台風の強大化の影響で,これまで越波が生じていなかった護岸においても将来的に越波が発生するようになると考えられる.越波被害の対策としては,護岸の嵩上げや消波工の設置などが挙げられるが,設置する空間やコストの制約から,これらの対策工を新設するのは困難な場合もある.以上の観点から,著書らは既存の護岸に円柱状の構造物を係留する低コストかつ簡易な係留式越波対策工を提案している.本研究では数値シミュレーションで係留索を含む係留式越波対策工の挙動の再現を試み,数値シミュレーションが本対策工の評価に有用であるかを検討した.その結果,数値シミュレーションにより本対策工の挙動を再現し係留索に作用する張力を妥当に評価できることを示し,さらに越波低減効果をある程度評価できることを確認した.