2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17147
本研究では汽水域湿地帯における大気(湿地生態系)と水面のCO2フラックスを同時に連続観測することで,日中・夜間を考慮した両CO2フラックスの時間変動を明らかにすることを目的に観測を行った.湿地生態系のCO2フラックスは水面のCO2フラックスと比べて変動が大きく,春から夏にかけて大きな吸収を示した.水面のCO2フラックスは時間変動が小さく,冬を除いてほとんどの時間帯で放出を示した.湿地生態系のCO2フラックスの変動要因は日中において日射量,夜間において鉛直風速が寄与しており,水面のCO2フラックスの変動要因は日中・夜間ともに水温,潮位および堰からの放流量が寄与していた.以上のことより,汽水域湿地帯の湿地生態系と水面のCO2フラックスについて,季節別の日中・夜間における変動特性を気象条件と関連付けて明らかにした.