2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16027
本論文では,これまでの洪水流量観測技術の発展を踏まえた上で,河道の流速の平面的な分布情報を陽に考慮した流量把握技術を,今後の流量観測の技術的な発展の方向性の一つとして認識し,流速の面的把握から流量算出までを試行した.試行イベントは2021年度に実施された千代田実験水路の通水実験とした.初めに,カメラの角度及びカメラと水面までの距離の情報を用いて幾何変換を行った上でPIV解析を実施し,得られた表面流速を電波式流速水位計から得られる表面流速と比較した結果,概ね整合することを確認した.その上で,流量算出断面を設定し,通水中の河床高の横断分布は小規模河床波に関係する流水抵抗の知見を活用して推定し,流量を算出した結果,通水実験における実際の流量を良好に再現する結果が得られた.