2023 年 79 巻 15 号 論文ID: 22-15008
豪雪地区の送電用鉄塔は,部材上に冠雪が発生し,設計値以上の荷重が作用することで,部材変形や破断が発生することがある.冠雪が発生する鉄塔のほとんどは,厳寒期において頻繁な現地調査が困難な場所に建設されており,冠雪による部材変形の詳細なメカニズムは明らかになっていない.そこで本研究では,まず供用中の鉄塔において,部材の傾斜変化とカメラ画像をモニタリングすることで冠雪の状況を把握した.次に,推定した冠雪荷重を部材解析モデルに載荷し,部材に発生する応力を解析することで部材損傷に至るメカニズムを考察した.この解析結果の妥当性を確認するため,実際の鉄塔に冠雪荷重を模擬した荷重を与え,部材の傾斜変化と冠雪荷重の関係を確認した.さらに,構築した解析モデルを用いて冠雪荷重による部材損傷を防止するための工法を検討した.