2023 年 78 巻 5 号 p. I_727-I_739
高速道路休憩施設の駐車場では,休日昼間に小型車,平日夜間には大型車の利用が集中し,時間帯によって満車になる車種に相違が生じていた.駐車場の敷地制約も鑑みて,高速道路会社は,従来の大型車専用マスを一部「兼用マス」に転換する策を講じた.兼用マスにおいては,場内の混雑状況に応じて小型車 2 台の縦列駐車を認めるが,混雑解消にどれほど寄与しているのか定量的に示した既往研究は存在しない.そこで本研究では,兼用マスの導入および設置比率が駐車不能車両の発生や駐車場全体の稼働率にどのような変化をもたらすか定量的に検証することを目的とした.シミュレーション分析の結果,兼用マスの設置によって,満車により流出する車両の台数を減少できること,駐車マスの幅を基に算出した,実質的な稼働率が概ね高い値をとることを示した.