2012 年 68 巻 5 号 p. I_709-I_717
本研究では,岡山県において免許返納者へ行ったアンケート調査の結果をもとに,居住地域に着目して,返納して良かったと感じる要因や生活に困る要因について分析を行った.その結果,もともと運転していた人では,返納後自由に移動することが難しいと考えられる場合に,運転していなかった人では,身分証がなくなり困っている場合に良くなかったと感じる傾向があることを示した.また,都市部に比べて郊外部,中山間地域では生活に困っている人が多いこと,また,生活に困る要因は地域によって特徴が異なり,都市部では通院距離が遠いこと,郊外部と中山間地域では,買物に行けなくなったことや送迎を利用できる環境にないことが大きく影響していることを示した.