2021 年 77 巻 2 号 p. I_1375-I_1380
豪雨に起因する水害である洪水氾濫,内水氾濫,斜面崩壊を対象に,共有社会経済経路(SSP)に応じた人口変動に伴う2015年から2100年にかけての曝露人口変化の日本全国評価を行った.洪水氾濫,内水氾濫の曝露人口は,床上浸水である45cm以上の浸水が発生した地域内に居住する人口と定義した.また,斜面崩壊の曝露人口は,斜面崩壊発生確率が80%を超える地域内に居住する人口と定義した.2100年において,都市集中や地方分散といったSSP間の人口配置に違いはあるが,SSP別の3災害の総曝露人口の大小関係とSSP別の総人口の大小関係は一致した.他のSSPと比較してハザードの高い地域への人口集中度が低くなるSSPは,洪水氾濫においてSSP3,内水氾濫においてSSP4,斜面崩壊においてSSP1,SSP2,3災害総計ではSSP2,SSP3と推定された.