2020 年 76 巻 2 号 p. I_127-I_132
流域治水における活用を念頭に,遮断蒸発率と地表面抵抗の増強による森林の洪水低減機能の向上について洪水ピーク流量の視点から検討した.徳島県内に位置する2つの林地(一斉植林・皆伐型施業のスギ人工林,弱間伐・択伐型施業のスギ・ヒノキを中心とする針広混交複層林)を対象に水文観測を実施し,地表面流分離直列二段タンクモデルと将来予測降雨を用いた流出シミュレーションを実施した.遮断蒸発率と地表面抵抗の洪水ピークの流量低減と遅延効果について検討した結果,対象としたスギ人工林を針広混交複層林・弱間伐に変更すると20%程度の洪水ピーク流量低減効果を得られる可能性が示唆された.