2018 年 74 巻 5 号 p. I_781-I_786
低水路側壁が円形の複断面開水路流れ(円形流れ)の流れ構造の特徴を,流速計測法と流れの可視化法を用いて検討し,低水路側壁が鉛直の流れ場(鉛直流れ)の特徴との差異を比較した.その結果,比較的水深が高い条件では,鉛直流れに形成される斜昇流と対を成す旋回流は,円形流れにおいても形成されるがそれは弱体化することが明らかとなった.低水深の流れ場では,鉛直流れに形成される扁平な旋回状の二次流れが円形流れでは消失することが明らかとなった.比較的高水深の条件において,鉛直流れでは高水敷先端部に大規模な縦渦構造が直線状に,時空間的に集中して形成されるが,円形流れの側壁上には縦渦構造の形成領域が蛇行しており,それが斜昇流と旋回流の弱体化に影響していることが推察された.