2009 年 65 巻 3 号 p. 346-355
鉄道沿線には,間知石を用いた石積壁により防護された切土のり面が多く存在している.このような石積壁のなかでも自立性地山の前面に構築された石積壁については,地震時における挙動が明かにされていなかったために,石積壁そのものが倒壊することが懸念されていた.そこで,模型を用いた振動台実験で明らかにした石積壁の変形挙動を基にして,自立性地山前面に施工された石積壁が正弦波で加振された場合の変形挙動に対する静的解析法の適用性について検討した.簡易な解析モデルを提案し,この解析モデルを用いた静的解析法によって実験結果の再現を試みて,その解析手法の適用性を検討した.石積壁が構造体として機能している段階においては,提案する解析手法により得られた石積壁の残留変位は,実験結果とよく一致することを明らかにした.