2022 年 78 巻 5 号 p. I_95-I_106
未観測流域におけるハイドログラフ再現手法として,流量特性あるいは水文時系列データを目的変数として水文モデルをキャリブレートする方法がある.水文モデルのキャリブレーションの目的変数として,ハイドログラフを再現可能な流量特性あるいは水文時系列データを探知するために,国内23流域における数値実験を実施した.流量特性としてBaseflow index(BFI),Flashiness index(FI),年流出高(QMEAN),および流況曲線に関する3指標(Q10,Q50,Q90),水文時系列データとして陸水貯留量偏差(∆TWS)および土壌水分量偏差(∆SM)を採用した.∆TWSは水文モデルのキャリブレーションの目的変数として,ハイドログラフを再現可能な指標であることを見出した.この理由として,∆TWSは水文モデルの全てのパラメータと関連し,かつ時系列データのために誤差の情報量が多いことが挙げられる.