2022 年 78 巻 3 号 p. 112-121
東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所事故の影響によって生じた放射性物質を含む除去土壌を再利用することで減容化するべく,洗浄処理と分級処理を組み合わせた土壌洗浄システム開発を目指し,渦崩壊洗浄による放射線量の低減効果を明らかにすること,並びにハイドロサイクロン及び傾斜板沈降器を用いた分級による分級性能を明らかにすることを目的として研究を行った.洗浄実験の結果,シュウ酸0.05mol/L水溶液で土砂を懸濁させノズルを40回通過させたときに,放射性物質濃度を24%低減することが可能であることを示した.分級実験では75μmを50%分級径として約25%の細粒分を含む土砂を分級した結果,サイクロンを流れる流量が約30L/min以下の場合,粗粒分に混入した細粒分の割合を約6%以下まで抑えられることを示した.