2021 年 77 巻 7 号 p. III_161-III_168
本研究では,下水汚泥肥料およびマッシュルーム廃菌床を鹿児島県霧島市の茶園に3年間施用し,これらの資材の利用可能性を検討した.その結果,下水汚泥肥料を茶園に施肥すると従来の有機質肥料(菜種油粕)よりも増収が見込まれ,特に菜種油粕の50%を下水汚泥肥料に置換した試験区で総収量は最大となった.また下水汚泥肥料中の重金属が茶葉品質へ影響を及ぼすことはなかった.さらに茶園土壌の地力維持のためにマッシュルーム廃菌床を用いたが,茶葉の収量,品質に影響はなく,廃菌床を茶栽培へ利用できることがわかった.また,下水汚泥肥料を12kgN/10a/年施肥することで,肥料費を慣行施肥区の約15%削減でき,かつ地域で発生する脱水汚泥の約88.5%を地域の茶園で利用できる可能性が示唆された.