2013 年 69 巻 7 号 p. III_623-III_630
本研究では、低濃度産業排水の創エネ処理法の確立を目指し、EGSB法による飲料系工場排水(約1,000mg-COD/L)の低温(17 ~ 19°C)でのメタン発酵処理を試みた。その結果、容積負荷15 kg-COD/(m3·d)、汚泥負荷0.63 kg-COD/(kg-MLSS·d)、COD除去率88 ~ 93%、メタンガス転換率60 ~ 69%の良好な処理性能を安定的に示し、中温メタン発酵と同等の性能を達成した。保持グラニュール汚泥は若干肥大化したが、安定した沈降性を維持していた。更に、低温耐性のあるメタン生成古細菌の集積化が進むことで、保持汚泥の低温(20℃)でのメタン生成活性は植種汚泥の中温(35℃)での活性と同等にまで増加し、EGSB法の無加温条件での安定した処理性能発揮に寄与した。