交通の安全性の向上は,高度道路交通システムの重要な目標のひとつである.走行支援道路システムの開発の一環として,前方障害物衝突防止支援システムの研究開発が実施されてきた.開発されたシステムの性能をドライビングシミュレーター,試験走行路等で検証したうえで,2005(平成17)年から社会実験が開始された.本論文では,こうしたシステムの要素技術に必要な機能とその実現方法について述べ,さらに首都高速道路参宮橋地区における社会実験で交通事故が大幅に減少したことを示し,導入された前方障害物衝突防止支援システムが事故の減少にどの程度寄与したのかを分析した.路側表示板による前方障害物の警告表示は舗装の打ち替え以上の減少効果があり,VICSを用いた情報提供はこれらに次ぐ効果をもつことを見いだした.