2021 年 77 巻 2 号 p. I_117-I_128
近年,異常気象の影響で大規模土石流が発生している.そのため,現行設計荷重を超えた外力を受け,砂防構造物の損壊が発生している.このような背景によって,現行基準より大きな荷重を想定した新たな設計法が求められている.そこで本研究は,構造安定計算の転倒安定性に着目し,転倒限界を確認できる実験装置を創作し,土石流荷重を動的荷重分布モデルとして提案したものである.また,提案した土石流荷重モデルに基づく FEM 解析を行い,転倒限界の再現シミュレーションを行った.その結果,提案手法の荷重モデルによる転倒限界は実験結果とほぼ一致した.さらに,堰堤モデルの最大浮き上がり量は抵抗モーメントに対する超過モーメント積に依拠することを明らかにした.